Mourinho e eleição

 今回はかなり長いです。お読みになるときはちょっと覚悟してくださいね。
 Mourinhoの本をやっと読むことが出来た。といっても全てではなく、ベンフィカについての記述部分のみ。本を読むのは結構気力がいるもので(新聞もだけど)、当初は最初から読もうと思っていたけど、なかなか手に付かず。結局、手許に届いて数ヵ月後にやっと、ということになってしまった。もちろん、読むといっても精読、熟読ではなく、辞書を使わない流し読みだったんだけど。さすがに分からない単語を一つずつ調べるのは辛い。
 Mourinhoがベンフィカに招聘されたのは、前会長のVale e Azevedoの時代、2000年9月のこと。当時の監督Jupp Heynckesに対するファンの不満が最高潮に達したとき、Vale e Azevedoはバルセロナのアシスタントコーチを辞めたMourinhoにオファーを出した。Vale e Azevedoは以前、Mourinhoがバルセロナでアシスタントコーチを務めていたときに、Heynckesのアシスタントコーチに、とオファーを出したが、Mourinhoは「ポルトガルへ戻るときは監督として」と考えていたため、この誘いを断っていたという。そのため、このオファーもアシスタントコーチとしてだと思い、最初は断った。しかし、監督としての要請だと知り、承諾したとのこと。このときはシーズン終了までの契約。しかし、会長選を控えていたVale e Azevedoが再選されれば、自動的に2年延長されるはずだった。でも、Vale e Azevedoは選挙に敗れ、Vilarinhoが会長職に就き、状況は変わった。結局、彼がベンフィカで指揮を執ったのは第5節から第13節まで、わずか9試合だった。
 Vilarinhoの公約は、「JardelとHugo Lealを獲得すること」、そして「監督としてToniを招聘すること」だった。Toniはベンフィカにタイトルをもたらした最後の監督であり、そのため、ベンフィキスタからも人気を得ていた。Vilarinhoが会長に選ばれたことで、Mourinhoは自分の居場所がベンフィカにはなくなるのではないか、と考え始めたという。Vilarinhoが会長になってから、Mourinhoを辞めさせるため、些細なことではあるけれど脅しとも取れるようなことを続けたという。具体的にはあまりあがっていなかったけど、私の想像では、完璧主義者であるMourinhoの調子を狂わせるようなことだったんだと思う。
 ベンフィカの監督に就任してからすぐのボアヴィスタ戦には負けたものの、それから8試合、負けることはなかった。それでも、Mourinhoはどうにかして自分のポジションを確固たるものにしたかった。そのため、スポルティングとのデルビーを3対0と快勝した後、MourinhoはVilarinhoに、契約延長の話し合いをしたいともちかけた。結果を出したこのときがチャンスだと思った。しかし、Vilarinhoはそれを受け入れず、話し合いが持たれたのは翌日だった。
 翌日、MourinhoがVilarinhoのもとを訪れると、Vilarinhoは「私は君と契約の延長をしたいと思っている。しかし、他の幹部や援助をしてくれる人たちがそれを拒否するんだ」と話したという。会長室を出た後、トイレに入ったMourinhoは、ベンフィカのある幹部が新聞記者に対し、電話でこう話しているのを聴いた。「Mourinhoは契約延長の場合、今の給料の3倍の額を要求しているそうだ。結局あいつが欲しいのは金なんだ。この話、記事にしてもいいよ。」 Vilarinhoは「他の幹部たちが契約延長を望んでいない」と話したが、そう仕向けていたのは彼自身だった。その言葉で、彼はただちにベンフィカを離れることを決め、電撃解任のニュースと繋がった。そしてその後、Vilarinhoは公約どおり、Toniを監督として招聘した。しかしそのシーズン、ベンフィカのポジションは史上最悪の6位で終わることになった。
 Mourinho自身は、ベンフィカの監督を続けたかったという。私が向こうで話を聞いたとき(昨年の頭)は、「Mourinhoの夢はポルトで監督を務めること。結局ベンフィカはステップでしかなく、彼は私たちを裏切ったんだ。」ということだった。その頃の私はまだベンフィカの深いところまで興味がなかったし、詳しいことも知らなかったから、私はその言葉を信じていて、Mourinhoに敵対心を持っていた。最終的な彼の目標はそうだったのかもしれないけど。でも、ベンフィカにいたかったというMourinhoの気持ちが、今は何となく信じられるような気がする。Vilarinhoが会長として過ごした3年間の、最大のミスは、Mourinhoを解任したことなんじゃないか、と思う。結果論なんだけど。もちろん、この本はMourinhoの立場から見たものだから、客観的ではないのかもしれない。でも、この本が出版されたとき、特にVilarinhoが内容について反発することもなかったということは、やっぱり少なからず真実の部分が大きいんだと思う。
 今月末には、再び会長選が行われる。私には選挙権がないけれど(私のソシオのカテゴリーは住所がリスボンから離れている人向けだから、選挙は対象外。)、やっぱり蚊帳の外ではいられない。今回、結果によってCamachoが解任されることはないだろうし、立候補者の3人ともRui Costaの獲得を念頭に入れていて、あまり公約内容に差はないように見える。でも、個人的には財政問題の解決を謳っているJaime Antunesがいいなと思う。最有力のLFVは、彼にまつわるいい話を聞かないもので。そうはいっても、誰が選ばれようと、それを受け入れるしかないのだけど。
 話はそれまずが、現在、ポルトガルガイドのようなページを追加作成しようかと目論んでいます。旅行記になるかもしれませんが。昔のサイトで使っていたのもまだあるし、ということで。そうはいっても、リスボン以外はあまり回っていないので(来年は北の方に行こうと思っていますが)、お役に立つかどうかは分かりませんけどね。